睡眠負債という言葉、ご存知ですか?
いわずもがな、睡眠は僕たちが生きていく上で必要不可欠な行為です。
日々の疲労を回復して、脳とか筋肉とか骨とか内臓の保全修復をして、
記憶を定着させるもの、残すもの、消すものに分けて整理したりします。
眠りが足りなくなると、色々な機能不全が起こります。
頭がぼーっとして回らなかったり、気分が悪くなったり頭痛がしたり、
肩とか首が凝ったり、免疫力が低下して病気になったり。
酷いと幻聴幻覚が出たり精神障害の原因にも。
仮に一日8時間の睡眠が必要だとして、実際の睡眠時間が6時間とすると。
一日2時間の「睡眠不足」になります。一日だけで見れば。
これが一週間続くと、毎日2時間、合計14時間の不足が積み重なります。
この14時間が「睡眠負債」と呼ばれます。
実は、この睡眠負債が実に厄介です。
日常生活のさまざまなことを邪魔して、危険な目にすらあわせます。
僕たちが思うよりも、ずっと。
★日本人の睡眠事情
忙しい日常の中でも毎日十分に眠れている人、どれだけいるでしょうか。
日本の平均睡眠時間は6.5時間、6時間以下の人も40%だそうです。
「そんなに短いのか」「私はそんなに取れてないよ」
どっちの声も聞こえてきそうですね。
僕も毎日6.5時間は眠れていません。
平日は5時間ちょいちょいといったところでしょうか。
本当はもっと睡眠時間を取りたい!
でもやるべきこと、やりたいことのバランスでそうもいかない…。
悩ましいところですね。
2016年では、100カ国中、睡眠時間では日本は最下位という調査もあるそう。
最下位ですよ。日本人は100カ国で一番眠らない国民なわけです。
十分な睡眠時間は人によって様々ですが、8時間としたら、
僕たち日本人は平均で毎日1時間30分の睡眠負債を積み重ねているわけです。
一週間で10時間30分。
これを返済しようとすると、どこかで18時間30分眠らないといけない…。
いやいやいやいや…無理でしょ…
まる一日眠りっぱなしです。眠り姫です。
週末どれだけ眠ったって、これだけは難しいですね。
週末に寝だめをしたところで、全額返済は遠い道のりです。
ということで、返済できない睡眠負債を積み重ねているのが現状です。
★睡眠負債が積もっていくと…?
あなたも経験があると思います。
寝不足でボーっとしている時。
会議中ずっと起きていたはずなのに、聞き逃したり覚えていないところがあるとか。
運転している時、気が付くと前の車に追突する寸前だったとか。
話の受け答えがいつもよりかなり鈍くなっていたりとか。
これは集中力低下、注意力散漫というのもありますが、
一瞬とか数秒間、ふっと眠ってしまっていることがあります。
「マイクロスリープ」とも呼ばれます。
脳を守る防御反応だそうです。
これは恐ろしいことに、目を閉じもしないし自覚すらないそうです。
目を開けたまま反応しない人形状態。
脳波を測っていたらわかるそうですが。
これがとても危険なことは誰の目にも明らかですよね。
高速道路を運転中に数秒間意識がなくなったら…。
手術中の医師が切開しているメスを手に意識をなくしていたら…。
電車がホームに滑り込んでくる時、棒立ちになっていたら…。
首が座っていない赤ちゃんを抱きあげている時、ふっと腕の力が抜けたら…。
ぞっとしますよね。
ちょっと違いますが、連続24時間起きている人の集中力は、なんとなんと、
ビール大瓶2本を飲んだ時レベルまで低下するというデータもあります。
これは極端な例かもしれませんが、ビール大瓶2本とはいかなくても、
睡眠負債が積もり積もれば1本分ぐらいは集中力が低下するかも。
これでは常に酔っ払っているようなものですね。
しかも、睡眠負債は脳にも身体にもダメージを与えます。
平均ぐらい眠れている人に比べ、眠れていない人は死亡率が高くなったり、
太りやすかったり、糖尿病になりやすかったり、精神が不安定になりやすかったり。
逆に眠りすぎでもよくないようです。何事も必要十分ということですね。
自分の身だけでなく、周りの人も危険に巻き込むかもしれない。
しかも、自覚もなしに。気が付いた時にはもう手遅れ。
そうなる状態を脱するのはなかなか難しい。自分にもダメージがある。
これが、睡眠負債の怖さです。
★危ないのはわかった。で?
睡眠負債を減らすためにどうするか。
ベストな解決法は「毎日十分な睡眠時間を確保する」ことです。
新聞とか雑誌でも記事が出ますよね。
「超絶激務のデキるビジネスエグゼクティブは、睡眠を大事にする」
的なアレです。どんなに忙しくても絶対8時間は眠る、というような。
とはいえ、みんながみんな、そうは言っていられないのが現実。
なら、限りある睡眠の質を上げるしかないです。
いくつか方法があります。
●体温をコントロールする
→<睡眠負債の返済は「ホクホクとリラックスして身軽にベッドイン」から>
●環境を整える。いつも通りのパターンを大事にする
→<返済困難な睡眠負債、減らすための「カタチ」とは?>
●頭を空っぽにする。「眠らなきゃいけない」をやめる
→<睡眠負債を返す第一歩!最高の寝付きのための3箇条とは?>
すっと寝付いて、ぐっすり眠って、比較的スッキリ起きようプランです。
これらの方法を自分の好みとか生活に合うようにアレンジして、
たまる一方の睡眠負債を少しでも減らして、
健康で安全な生き方を実践していきましょう。